2026.09.04
家を売りたいというご相談をいただくと、確認しなければならないことがたくさんあります。
売却理由、希望時期、住宅ローンの残債、建物の不具合、リフォーム履歴。相続した不動産なら、相続登記などの確認も必要です。
不動産売却を安全に進めるためには、どれも欠かせません。
でも私は、それとは別に、こんなことも売主様に聞きます。
「この家には何年くらい住んでいるんですか?」
「どうして、この家を選んだんですか?」
「実際に暮らしてみて、どこが一番良かったですか?」
話しているうちに、売却とはあまり関係のない昔話になることもあります。
でも、それでいいと思っています。
「この窓から入ってくる風が気持ちいいんですよ」
「この庭は主人がずっと手入れしていたんです」
そんな話の中に、何年もそこで暮らしてきた人にしか分からない、その家の姿があるからです。
もちろん、聞いた話をすべて買主様に伝えるわけではありません。
売主様にとって大切な思い出でも、買主様がどう受け止めるかは分かりませんし、売主様の思いを押し付けるようなこともしたくありません。
それでも、自分が売却を任された家については、できるだけ知っておきたい。
私はそう思っています。
築年数だけを見れば「古い中古住宅」でも、
「夏はここから風が抜ける」
「朝はこの部屋に陽が入る」
といった、物件資料だけでは分からない魅力があるかもしれません。
そういうことまで知ったうえで、
「この家を気に入ってくれるのは、どんな人だろう?」
と考えながら、次の方を探していきたいのです。
査定書を作ることだけが、不動産売却の始まりではありません。
その家でどんな時間を過ごしてきたのか。
売主様から、その「家の物語」を聞かせてもらう。
私にとっては、そこからすでに売却のお手伝いが始まっています。
2026.09.01
不動産売却のご相談をいただくと、私たち不動産会社は、まずその家についていろいろなことを調べます。
土地や建物の広さ、築年数、間取り、道路の状況。そして、いくらくらいで売却できそうなのか。
不動産を売るためには、どれも大切なことです。
でも、長くこの仕事をしているうちに、私は少し違うことも考えるようになりました。
家って、本当に「物」としてだけ考えていいのだろうか。
たとえば30年間暮らしてきた家も、販売資料にすれば「築30年の中古住宅」です。
でも売主様にとっては、当然それだけではありません。
子どもが生まれ、庭で遊び、家族で食卓を囲み、やがて成長した子どもたちが巣立っていく。
その間ずっと、ご家族の生活を支えてきたのが、その「家」です。
売主様とお話をしていると、
「この庭は主人が好きでね」
「子どもが小さい頃は、この部屋をこう使っていたんですよ」
そんな話を聞かせていただくことがあります。
こうした話は、不動産の査定価格には直接関係しないかもしれません。
でも私は、結構大事な話だと思っています。
もちろん、不動産屋ですから、少しでも良い条件で売却することは大前提です。
ただ、価格を査定して、広告を出して、買主様が見つかったら契約して終わり。
私は、それだけの仕事にはしたくありません。
売主様にとって長年生活を支えてくれた家が、今度は買主様の新しい生活を支える家になる。
売主様の「これまで」から、買主様の「これから」へ。
不動産売買には、そんな一面もあると思っています。
私たちM-andが掲げる、
「安心でつなぐ住まいのバトン」
という理念は、そんな思いから生まれました。
次回は、私が家の売却をお手伝いするときに大切にしている「売主様から家の物語を聞くこと」について書いてみたいと思います。