2026.10.18
第1話 「まだ早い?いや、今なのか?」
株式会社M-andを立ち上げて、まだ1年にも満たない頃。
不動産業界での経験は長いとはいえ、自分で会社を経営するとなると、また話は別である。
会社を立ち上げたからには、当然、仕事を増やしていかなければならない。
しかも、一時的に仕事が増えればよいというものでもない。
これから先も、安定して仕事を続けていけるようにしなければならない。
「どうすれば、もっと仕事の機会を増やせるだろうか?」
「どうすれば、継続して仕事をいただける仕組みをつくれるだろうか?」
そんなことを日々考えていた。
もちろん、目の前の仕事もある。
お客様への対応、物件調査、契約業務、広告活動、会社の運営……。
やることはいくらでもある。
そんなある日、知り合いから一つの話をいただいた。
「BNIというビジネス交流の組織があるんだけど、どう?」
BNI?
名前は聞いたことがあったかもしれないが、どんな組織なのか、詳しいことは分からない。
話を聞いてみると、さまざまな業種の経営者や事業者が集まり、お互いのビジネスの発展を目指す組織らしい。
なるほど。
異業種の方々と交流できれば、新しい仕事の機会が生まれるかもしれない。
これまで接点のなかった人たちと知り合うことで、自分のビジネスの間口を広げられるかもしれない。
そう考えると、なかなか興味深い。
しかし……。
BNIについて調べ、活動内容を知るにつれて、別の考えが頭をよぎった。
「ちょっと待てよ……」
定期的な会合がある。
さまざまな活動がある。
メンバー同士の交流や、学ぶべきこともある。
どうやら、ただ参加して名刺を交換するだけの交流会ではないらしい。
「いやいや、まだ開業して1年も経っていないぞ?」
「今でさえ、やることが山ほどあるのに……」
「これ以上、新しいことを始める余裕なんてあるのか?」
そもそも、今は会社の足元を固めることが先ではないのか。
目の前の仕事をしっかりこなし、会社の経営基盤を整える。
それから新しい活動を始めても、遅くはないのではないか。
一方で、こんな考えも浮かぶ。
「でも、仕事を増やしていかなければ、会社は続かないよな……」
「新しい人との出会いが、そのきっかけになるかもしれない」
うーん。
どちらも間違っていない気がする。
新しいことを始めるには、時間も労力も必要だ。
しかし、何もしなければ、今までと違う結果は生まれないかもしれない。
そんなことを考えながら、BNIへの入会を迷っていた。
そして、ふと思った。
そもそも今回、BNIという組織を知ることになったのは、なぜだろう?
自分で探し回って見つけたわけではない。
広告を見て申し込んだわけでもない。
一人の知り合いが、私に紹介してくれたからだ。
そのときは、特別深く考えていたわけではない。
しかし、振り返ってみると、これも一つの「人とのつながり」から生まれた出来事だった。
この紹介がなければ、私はBNIという世界に足を踏み入れることなど、考えもしなかったかもしれない。
さて、どうする?
まだ早いのか。
それとも、今だからこそ挑戦するべきなのか。
答えは、なかなか出ない。
こうして私は、新しい世界への入口に立ちながら、しばらく頭を悩ませることになった。
まさか、この一つの紹介が、後に自分の仕事に対する考え方まで変えていくことになるとは……。
このときの私は、まだ知る由もなかった。
-第2話『そもそもBNIって何者だ?』へ続く。-