2026.09.11
第3話 その査定額、本当に信じて大丈夫ですか?
登記簿、公図、地積測量図、建物図面、周辺の売出事例や成約事例。机上査定では、入手できる資料を使って、おおよその価格を算出します。一般的な住宅地で、土地や建物の状況がある程度分かっていれば、机上査定でも参考となる価格帯を示すことはできます。
しかし、相続した古い家や土地では、資料だけでは見えないことが少なくありません。建物は実際にどの程度傷んでいるのか。登記されていない増築部分はないか。敷地へ車で入れるのか。境界や越境はどうなっているのか。農地は現在どのように使われているのか。過去にどのような許可を受けて建てられたのか。こうしたことは、机の上で数字を眺めているだけでは分かりません。
査定を依頼すると、その日のうちに回答が届くこともあります。複数の会社へ依頼すれば、他社より高い金額を提示する会社もあるでしょう。回答の早さや査定額は、会社選びの材料の一つです。ただし、査定額はその金額で売れることを約束するものではありません。
私は、まだ調べ切れていない段階で、耳触りのよい金額だけを先にお伝えすることには慎重です。「今の資料で分かるのはここまでです」「正確に判断するには現地と行政の確認が必要です」とお話しします。依頼者が知らない問題は、私にもまだ分からないからです。
大切なのは、最も高い金額や最も早い回答だけで会社を決めることではありません。何が分かっていないのか、次に何を調べるのかを正直に説明してくれるか。そこに、信頼できる不動産会社を見極める一つのポイントがあります。
次回へ続く。