2026.09.17
第6話 農地はそのままでは売れないことがある
この物件には、登記上の地目が「畑」となっている土地も含まれていました。田や畑は、宅地と同じように、売主と買主が合意すれば必ず名義を移せるとは限りません。誰が購入するのか、購入後にどのように利用するのかによって、農地法上の許可や届出が必要になることがあります。
農地として引き継ぐのか、住宅の敷地など別の目的で利用するのか。現況はどうなっているのか。農業委員会への確認は必要か。農地転用は可能なのか。場合によっては測量や分筆も検討します。ここでも、机上の登記情報だけでは答えは出ません。
手続きが必要となれば、行政書士や土地家屋調査士などへ依頼する費用も考えなければなりません。査定価格が同じでも、売却までに必要な費用や時間が違えば、売主様の手元に残る金額も変わります。相続人にとっては、予想していなかった負担になることもあります。
私は、分かったことだけでなく、まだ確認中のこと、考えられる手続き、費用が発生する可能性を順番にお伝えしました。専門用語を並べるのではなく、「なぜその確認が必要なのか」を共有しなければ、本当の意味で納得して売却を進めることはできません。
相続不動産では、売りたいと思ってから初めて、こうした課題が分かることがあります。だからこそ、価格だけを知らせて終わる査定ではなく、売却までの道筋を一緒に考える相手が必要なのです。
次回へ続く。