2026.09.18
第7話 査定価格だけでは表せない物件の価値
現地と行政での調査が進むにつれ、最初の机上査定を見直す必要が出てきました。周辺の宅地価格をそのまま当てはめても、この物件の市場価格にはなりません。市街化調整区域、農地、古い建物、許可の確認。条件が複雑になるほど購入できる方は限られ、住宅ローンの利用にも影響することがあります。
机上で算出した価格、現地調査後に考えられる価格、実際の市場が受け止める価格。この三つが同じとは限りません。最初に高い査定額を示せば、売主様には喜んでいただけるかもしれません。しかし、売り出した後に問い合わせがなく、何度も値下げすることになれば、その査定は何のためだったのでしょうか。
一方で、値段が付きにくいことと、価値がないことも同じではありません。広い庭、土に触れられる暮らし、周囲の静けさ、長年家族が守ってきた建物。一般的な住宅を探す方には合わなくても、まさにその環境を探している方がいるかもしれません。
査定では、問題点を見つけるだけでなく、その物件が誰にとって価値を持つのかを考えます。おじい様が畑を耕し、家族が集まり、季節ごとの暮らしを営んできた。そのストーリーも、この家にしかない魅力です。
数字を大きく見せるのではなく、制限と可能性の両方を整理する。そして、現実的な価格と届ける相手を考える。それが、私たちが行う査定です。
次回へ続く。