2026.10.17
第12話 家の価値は過去を読み解くところから
最初に見えたのは、現在の建ぺい率を大きく超える建物でした。
裁判所の資料には「増築」。
登記と現況には約7㎡の差。
役所には、当時の申請書や図面が残っていない。
調べ始める前は、違反建築という結論に近く見えたかもしれません。
けれど、建築時期や規制の適用関係をたどると、建ぺい率については、当時は適法で、現在は既存不適格という整理が見えてきました。
さらに、建築確認時の面積は、現在の面積とほぼ一致していました。
それでは、約7㎡は、本当に増築なのか。
登記と建築確認の間で、何が違っていたのか。
この謎は、引き続き確認が必要です。
売買も、まだこれからです。
私は、都合のよい結論に急いでしまうことも、難しいからと調査を諦めることも避けたいと考えています。
古い家には、長い暮らしの歴史があります。
その価値を正しく伝えるには、今の姿だけでなく、そこに至るまでの記録を読み解くことが必要です。
書類を残してくださるご家族。
現地と記録を照らし合わせる私たち。
その積み重ねが、次の方への説明につながります。
安心でつなぐ住まいのバトン。
今回も、そのバトンを渡すための大冒険は、まだ続いています。
-第4章 END-