2026.09.08
第1話 ある日、相続不動産の査定依頼が4件届いた
ある日のことです。会社に戻ってメールを確認すると、不動産の査定依頼が入っていました。それも1件ではありません。同じ日に、4件です。さらに内容を確認すると、4件とも相続によって取得した不動産についてのご相談でした。
一日に4件も重なったのは、たまたまだったのかもしれません。ただ、不動産の仕事をしていると、相続した実家や土地について「自分では使わないけれど、どうしたらよいのか分からない」という相談が増えていることを感じます。親世代が地方に不動産を持ち、相続人である子どもたちは東京や神奈川など遠方で暮らしている。今の時代、決して珍しい話ではありません。
査定の入口もさまざまです。不動産会社のホームページから直接依頼する方もいれば、紹介や一括査定サイトを利用する方もいます。まず金額を知りたい、と考えるのは当然です。今回の4件も、物件の場所や内容はそれぞれ違いました。共通していたのは、相続人が遠方に住み、その不動産について詳しく分からないということでした。
「小さい頃に何度か行っただけです」「父から詳しい話を聞いていません」「土地がどこからどこまでなのかも分かりません」。そんな言葉が並びます。依頼者が知らないことは、机上で資料を見る不動産会社にも分かりません。まずは登記簿や公図などを集め、何が分かり、何がまだ分からないのかを整理する必要があります。
4件の中には、調べ始めると確認事項が次々に現れる物件もありました。ここからは、その中でも特に調査に時間を要した1件を中心に、相続不動産の査定で私が何を見ているのかをお話しします。
次回へ続く。